2016年度民美入所式 特別講座

美を創る心

〜ヨーロッパの美術・日本の美術・アフリカの美術〜

講師 伊藤 満 氏(㈶アフリカンアートミュージアム館長)

日時:2016年4月3日(日)14時~16時 【終了後 懇親会】

会場:平和と労働センター 2F ホール 【一般参加可・入場無料】

アルジェリアの南にある紀元前4000年のタッシリナジェールの岸壁画には仮面を付けた人物の像が描かれています。それは、現在のコートジボワールのウォベかゲレの人々が用いているのと同じようなマスクです。このマスクにより、壁画の主がウォベかゲレの祖先であるかどうかの確証はありませんが、昔サハラ砂漠が緑の草原であったころ、すでにこのような仮面が存在していたという証拠であり、それが現代につながっているとも考えられます。
 アフリカでは、精神性を重視するせいか、写実的なことやシンメトリックなことが「美」ではなく、大きくデフォルメして精神を表現したものや、歪んだものがリアリスティックであり、美しいと認識されています。
 ヨーロッパでは、古代ギリシャ時代以来、実物に近い形を表現することを尊重してきました。しかし、近代になって、当初は民族博物館の収蔵品であった、それまでのヨーロッパ的な表現とは異質な、アフリカのマスク、立像や道具などが、20世紀初頭のパリの若い芸術家たちの心をつかみ、新しい形や色彩の概念が生まれ、「キュビズム」や「フォビズム」として開花しました。
 アフリカ美術の影響はピカソやブラックだけではなく、マチスとフォーブの作家たち、モディリアーニ、クレー、レジェ、ブランクーシ、ジャコメッティーやヘンリー・ムーアにも及んでいます。 西欧の美術、日本の美術とアフリカの美術を比較して「美」とは何かを探ります。
2016IncomingCeremony 02
アルンガ マスク(コンゴ民主共和国 ベンベ)木に着彩 高さ420mm
2016IncomingCeremony 01
デゲのマスク (マリ ドゴン)木 高さ350mm 
 
2016IncomingCeremony 03
女性像のついたスプーン(コージボアール ダン)
木に着彩 高さ480mm
2016IncomingCeremony 04
半身像 (ナイジェリア ノック)テラコッタ 高さ460mm
 
【伊藤 満氏 略歴】
1952 愛知県瀬戸市に生まれる。
1975 金沢美術工芸大学卒業。資生堂宣伝部入社。
    パッケージデザイン・グラフィックデザイン・CM等の広告を制作。
1976 日本刀の鐔に興味を持ち「肥後金工」の研究と収集を行う。
1993 ヨーロッパでアフリカ美術と出会い、ボボの牛のマスクを購入。
2009 下関美術館で「アフリカの仮面と美術展」を開催。
2010 山梨県北杜市長坂町に「アフリカンアートミュージアム」を開館。