表現の自由・学問の自由を守りぬこう

―学術会議への人事介入に抗議し、全員の任命を求める―

昨年の夏、あいちトリエンナーレの表現の不自由展中止に反対する世論の広まりの中で再開が実現しましたが、この問題が起きた際、菅官房長官(当時)は「補助金の適切な支給を考える」として、補助金を盾にした表現の自由への介入を行ったことは記憶に新しいところです。

今度は、同じ菅氏が新しく就任した首相として、人事を盾にした「学問の自由」に対する露骨な介入を行うに至りました。学術会議からの会員推薦者の中から安保法制の集団的自衛権などに反対したといわれる6人の候補者を任命拒否するという憲法・学術会議法違反の暴挙です。この間の学術会議からの要請に対しても、国会論議の中でも、菅首相は任命拒否の理由を「人事事項」を理由に一切答えようとしておらず、「総合的・俯瞰的に…」とか「多様性やバランスを考えて…」とか理由にならない後付けの「理由」をあげて、支離滅裂の答弁を繰り返し、学術会議の在り方に議論をすり替えてきています。その上今また、推薦以前に「一定の調整をした…」と、事前の政治介入を示唆、さらにここにきて「官邸が反政府運動を懸念し6人の任命を拒否」したことが政府関係者から語られています。明らかな恣意的報復人事であり、法律違反であることは論を待ちません。

戦前、滝川事件や天皇機関説事件にあったように、時の権力は学問をその支配下におきつつ戦争への道を突き進みました。表現の自由についても同様で、多くの画家たちを戦争推進の道具として駆り立てました。これらの反省から戦後の憲法の中に、「表現の自由」(憲法21条)、「学問の自由」(憲法23条)、「思想良心の自由」(憲法19条)や基本的人権が瞳のように大切なものとして書き込まれたのです。

文化・芸術など表現の自由を抑圧し、時の政権にたて付く学者を排除、学問を支配下に置こうとする企みは、まさに戦前の誤った道のりを再来させるものであり、断じて許すわけにはいきません。

「任命拒否した理由を明らかにせよ」

「任命拒否を撤回し、すみやかに推薦者全員を任命せよ」

いま、学者はもちろん、宗教者、環境団体、文化人を始め、多くの国民の批判が彷彿と湧き上がってきております。

私たち日本美術会もまた、1946年の創立以来一貫して「表現の自由を守り、真に人間的な美術を生み出すため」(日本美術会趣旨)努力してきた団体として、表現の自由と学問の自由を守り抜くために奮闘するものです。

2020年11月17日