「時代の表現―生きる証」

日本アンデパンダン展も61回を迎えます。
時代と真剣に向き合う作家、評論家5氏とともに思想性とアートの問題が不透明ななか、明るい希望にどうつなげられるのか、真の美術力について、会場参加者 の発言と一体となつて六本木の新会場で本音で語り合いましょう。大勢の参加をお待ちしています。

●2008年3月22(土)
●国立新美術館講堂にて13:00開場13:30開演
●パネラー
萬木康博(評論家) 大島美枝子(美術家) 稲井田勇二(美術家)
渡辺柾子(美術家) 梅村哲夫(美術家)  下にコメント・略歴紹介 司会 : 鯨井洪 結城あつみ
費用:資料代600円

パネラー紹介
萬木康博(評論家)

1947年:東京生まれ。

東京芸術大学大学院修了。東京都美術館学芸員、水戸芸術館美術部門芸術監督の後、1996年からふくやま 美術館で学芸課長、副館長。現在笠間日動美術館副館長。

この10年余、アンデパンダン展を見る機会を持たずにきてしまいました。
虚心に今回展の出品作品を拝見し、感じたこと、思ったことをお話ししてみようと考えています。

大島美枝子(美術家)

1946年:大阪府に生まれる

1970年:武蔵野美術大学彫刻科卒業

1972年:日本アンデパンダン展出品

1984年:日美彫刻展

2001年:TACアートプロジェク卜展(多摩現代美術家会議)

2007年:小布施コンテンポラリー選抜作家展 国際彫刻シンポジュウム(インド・グワリオール) 他個展企画展グループ展等

61回展「時代の表現一生きる証」は今の私の気持ちにピッタリのテーマです。日々の創作の中では、悩んだ り、迷ったり、決断したりと試行錯誤の連続ですが、その制作過程そのものが、「"今"を、生きる証」なんだと改めて感じています。

稲井田勇二(美術家)

1948年:福井の農村生まれ

1971年上京後、アンデパンダン展と個展が中心

自 分の思う「感じ」の方へ、方へと手さぐりしているうちに、日本画材の胡粉(白)や墨の「感触」につながってきた。墨の表現といっても、その強さや豊かさに は程遠いが、絵の具と絵の具の重なり、筆の跡、手ざわり、比率からくる(が生み出す)ある「気持ち」、それだけで絵を描いている。そこに、これまでの自分 の生きてきた歩み、全体のものが、かくさず「生」に重なって出てくれればと。
もたもたと、なさけない自分、それでも真の強さにあこがれる自分を。

渡辺柾子(美術家)

アメリカのマイケルムーア氏のドキュメント映画「恐るべき真実アホでマヌケな白人1」中でイラクからの帰還兵が1万人近く死んでいるとの事!精神を病み自 殺、負傷兵は障害者、車イスで笑顔がまったくなし、政治家へのイヤミたっぷりのインタビュー等々、映像は現実の迫力で観ている者に伝わってくる。
その点、絵画はどうなのだろうと…。ふっと思った。

比較する問題じゃないかも。

絵が好きで描いてます。見た物そっくりに描く事はどうやら苦手、シュールも技術が必要だ、抽象画は?構図、色、線と知的でなければならない。こう考えると 自分はどれも出来ない事に気づき、半ばヤケクソ?やりたい事やれば良いとジャンルも気にせず創作しています。が毎回々作品が変わるのには自分であきれて 笑ってごまかす。一つのテーマを深く追求するプロセスを踏まない為か、自信が持てないでいます。どんな下手な作品も自分の創った生きる証だと、納得してい ます。

梅村哲夫(美術家)

〈私の表現の変遷〉
▼18才の時民芸「炎の人」を観劇してゴッホのような画家になる決心をする。
▼~25才プロレタリア美術家をめざす(キューポラのある街で現場労働者)
▼~30才頃「顔」をテーマに油絵、アクリル画の連作(本人はジャコメッティの時代と思っている)
▼35~52才頃「オレ流現代美術」の時代-名古屋の「20世紀末展」でがんばる
▼40~42才ゴッホ、ゴーギャンの模写
▼~46才迷いの時代の後「森からのメッセージ」シリーズを始める。テーマは「カラス」「ふくろう」。「ふくろう」のドローイングは2万枚をかく。
▼55才~名古屋の「巨樹/雲龍のクス」を市財政の都合で伐採するニュースに接して、突然「巨樹」に目覚めて現在に至る。テーマは「巨樹」、材料は南京 袋。

〈「巨樹」の魅力〉
▼樹齢千年の木がバタバタと死んでいます。何故か。天候災害と言いたいような近頃の地球温暖化が天候をメチャメチャにしてしまったからだと思う。酸性雨は 松をからします。いずれ日本の山の全部の木が中国から運ばれる酸性雨で深刻な影響を受けるでしょう。まだ間に合うか?すでに手遅れなのか?微妙です。
日本一の巨樹と言われる木を見あげてスケッチしていると心が熱くなります。巨樹の魂にすっぽりと包まれて心が平和になります。日本一の巨樹は日本一の美人 との出会いのようです。だから、無理してでも、何度もくりかえし出かけたいと思うのでしよう。

〈南京袋との出会い〉
▼初めて南京袋の表現で感心したのは10年くらい前「職美展」で具志堅邦子さんの作品でした。自分もいつか南京袋で思いっきり仕事をしたいとず一っと希望 していました。そして3年前になりますか?横浜市美術館で宮崎進の「シベリヤシリーズ」の南京袋にはうちのめされました。もう迷っている段階ではない。自 分もやってみよう。「巨樹」と「南京袋」の取り合わせは私の頭の中では最高のものです。遅くとも5年位のうちに、自分の表現に自信が持てる、そんな作品が できる気がしています。

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