ベルリンより 21( http://www.etsko.com/ )

皆さま、お元気ですか、ベルリンは気温が一桁台に入り、最高5度前後、最低1度前後です。

画廊主、槙原瑛一の二年ぶりの個展は11月15日にチェロのニーナ・モネ演奏によるバッハの重厚な曲で幕を開け、続いて、ミチコとニーナのバイオリンとチェロのグリエレ曲二重奏、最後にエルマノ曲二重奏で締めくくりました。

今回は槙原瑛一展のためにトーステン・ホーホムースが、スピーチをおこなったので、トーステンのスピーチ内容を送ります。画像も添付しますので、画像下コメントも合わせて読んでください。

トーステン・ホーホムースのスピーチ 私がエイイチと知り合ってから3年ばかりになる。初めの頃は彼が画家であり、画廊主であることなど知らなかった。私は彼と何時間もかけて人生と死について話し合った。その結果、以前には全く知らなかった思考と行動の世界の中にどっぷりつかってしまった。

とゞのつまり、重要なことではなかった、 彼が画家であろうと、画廊主であろうと。

私達は何度も出会った。 わかったことは、 私と話しているのは一人の詩人であり、思索家であり、哲学者であり、ついでに画家であり、画廊主である人物であった。私の眼には、一人の僧侶であるようにも見えた。 彼はドイツ語で充分に自分のことを説明できない時には、絵具と絵筆で自分の言葉をおぎなった。

アレキサンダー広場にあるテレビ塔のことを知らない人はいない。あのテレビ塔の小さな尖端を切り取り、テレビ塔を自分の足元においたらどうなるか考えてみるとする。 塔の一方の端から他方の端まで小犬のバフと一緒に歩けば、4分とかからない。この4分間に267メートルを歩いたことになる。この長さは20世紀最大の戦艦であった「大和」の全長に匹敵する。 画家マキハラは、船に特別の関心を持っているが、中でも帝国海軍の艨艟に惹かれている。彼が描いた「大和」の絵の前に立てば、様々の色合いの青が入りまじっていることに気づく。

海の青 艦の青 空の青 この絵をじっと見つめれば、可能なかぎり注視すれば、マキハラの絵筆の一撃一撃と、戦艦に打ち寄せる波しぶきを聞くことができよう。この戦艦の構造も建艦計画も外観も極秘であったように、画家マキハラが描こうとしたのは、戦艦なのか、それとも海なのかは秘密のままにとゞまる。この巨大な戦艦を描いた小さな絵から眼を離さないならば、どちらであったのかを占うこともできよう。

最後に、同時に展示されている「ベルリンの壁」に注目して頂きたい。エツコ・タナカは、かって存在した「ベルリンの壁」を今、再びここに表現している。ここには暗い悲しみもなく、壁の上で踊ってる政治家や大衆の愉快な酔い心地もない。この絵の中の壁の中に私は沈みこむこともできるし、この中に閉じこめられることもできる。いずれにせよ、この壁は風の中を舞い落ちる枯葉のように軽く、しかも同時にこの壁を乗り越えることはできない。その表現は確かであり、私達が考えている以上でもある。 この展覧会があなた方にとって幸運な出会いとなることを望む。 Torsten Hochmuth (訳・槇原瑛一)

悦子

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槇原瑛一「大和」トーステン解説
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左・槇原瑛一、右・スピーチするトーステン・ホーホムース
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ミチコとニーナの二重奏
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槇原瑛一作品1右から、「明日を知らず」「天皇を許さず」「触れるな、わが愛」
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槇原作品2下から「ヒロシマ」ビキニ環礁」「第3次世界大戦」
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槇原作品3右から「初めての大晦日ベルリン1998年」「大和」「佐世保の船2014年」「初めての冬ベルリン1998年」「15年目のベルリン2014年」、上「降伏」
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田中悦子「ベルリンの壁」トーステン解説