アルゼンチン便り NO.5 (海外の会員からの通信)

街路樹

今、ブエノスアイレスの街路樹は木の葉がほとんど舞落ち、裸でどんよりした冬空に聳え立っています。私が住んでいるアパートの 前の街路樹はポプラの樹で空に向かって長い枝を伸ばしています。こちらの樹は手入れのために切られることはあまり無く伸び放題の感があります。日本の友人 が来て一番高い樹は11階より高いよと吃驚していました。ごつごつした幹にこぶをいっぱいつけて存在を主張し、生きてるぞーという感じの木もあります。曲 がりくねったり、目のようなこぶがある木を見ると、ついつい振り返って散歩をしていると、犬の糞を踏んでしまい後悔することになります。自分の飼い犬の糞 の始末ぐらいきちんとしろよと叫びたくなります。住宅街は犬の糞、下町は紙屑・駅の線路は切符散乱、古きよき時代に自分で掃除をしなかった人々の名残なの でしょうか。教育されていない人が多いのでしょうか。


街路樹

こぶのある木

犬の散歩屋
 

犬と言えば、朝、日中でも犬の散歩屋を見かけます。散歩屋は腰に犬を繋ぐ金具をいっぱいぶら下げて歩きます。繋が れている犬もいれば、繋がれてなくてもきちんと歩いてグループについて行く犬もいます。10匹ぐらい一緒に脇目もふらず、横断歩道では信号待ちをし、散歩 しています。公園や駅の前には犬を遊ばせる広い場所が金網で囲ってあり、そこで犬を放して遊ばせる為に連れていくのです。たったっと足並みそろえて歩く犬 を見て、犬の躾のプロだなと感心してしまいます。こちらの犬はおっとりしていてあまり吠えません。散歩屋が他の犬を迎えに行っている間は大人しく歩道で 待っています。勝手に歩き回ったりしません。

店の前の街路樹は災難です。朝道を掃いたほうきの先を、しゃっしゃっとこすりつけて幹で汚れを落とす人をよく見か けます。店が開くと店の防犯のための鉄格子が幹に鎖で括り付けられ、少しのこぶの隙間には空き壜、ゴミが突っ込まれています。こちらの木は日本の木の植物 的な感じではなく、動物的に見え、夜になったら歩き出すのではないかと想像したりします。


細い木を彩色し貼り合わせた作品

故 Rauquel Forner(女性) の作品
 
ブエノスのギャラリー

5月24日に友人と二人で「EXIPO ARTE BA 2005」を見に行きました。BAはブエノス・アイレス の略字です。このエキスポはブエノスアイレスにある80軒位のギャラリーが一堂に会し、各ブースを借りて自分のギャラリーで扱っている作家の作品を紹介 し、即売もしていました。20ドルの小さな作品から3万ドルの作品もあります。大木をくりぬいて作った彫刻、針金にカラフルな布を巻き付けて作ったオブ ジェ、木を細く削って色を塗り貼りあわせた作品、油彩、水彩、木の板を彫って彩色した作品と多種に並んでいました。

すでに亡くなっている有名な作家の作品も並びます。今どのような作品をブエスの人が制作しているのかを知ることが 出来ました。10ペソ(300円位)の入場料はこちらでは高いと思うのですが、それを払ってたくさんの人が一枚一枚熱心に見て、感想を一緒に来た友人や ギャラリーの人たちと話し合っているのを見て、アート愛好家が沢山いるのだなと思いました。会場にはカフェも2箇所設けてありましたがすべて満席で座って お茶でも飲みたかったのですが、座る事はできませんでした。あまりの作品数に目は疲れるし、最初は一つ一つ見ていきましたがD,E通路くらいになるともう へとへとになりました。デジカメのバッテリーが途中であいにく切れて写真が撮れず写真でうまく紹介できませんが、美術書を売っているブースもあり、日本で はない展示法だと思いました。

毎月第3金曜日はギャラリー巡りの日で、7時半頃からギャラリーはシャンパンなど飲み物を準備して見にくる人を 待っています。地図なども用意されています。

7月に日本へ一時帰国する事になりました。日本の生活の早さについていけるか心配になってきました。

2005年7月1日     遠矢 浩子記